無意識な気だるさ
- 2009.05.28 Thursday
- 22:50
気だるく
そして一読して投げやりにも感じた文章
ドラマ性を感じさせないように淡々と書かれたそれは
とても赤裸々であり
下手なシナリオライターよりもドラマ性を感じたりしてね。
精神状態も悪くどうにもならなかったころ、前にやっていた別サイトでのブログに、
うだうだうだうだしたことを書いたり死にたいとか死のうとしたこととかを私も平気で書いていた。
いや、傍から見れば平気で書いていた事にしかならないけれど、私は多分、どうにもならないジレンマとかを吐き出したくてただ書いていたんだと思う。
あるいは無意識に「精神状態が悪い」という事をどこか自分を守るための武器のようなものにしていた部分もあったのかもしれない。
「自分のブログだし何を書いたっていいじゃない。誰かに迷惑かけているわけでもない、辛いから辛い、死にたいから死にたいと書いているだけ」みたいな・・・よくわからない開き直??りみたいな部分・・・、多分、どこかにあったと思う。
ある日、その時の私のブログを通してこんなメールが来た。
「精神状態が悪いのから仕方ないのかもしれないけど、正直、今、目の前にいたら殴ってやりたいね。苦しいだとか辛いだとももううんざりだ。自分をなんと変えていきたいと思っているくせに実際は何一つ変わっていないじゃないか?自分を変えたいと思うなら、何か、なんでもいいからいつもとは違う事くらい思い切ってやってみせろ。こんな事、言いたくないけど、なぜか気になるから思い切って書いてみた。ごめん。」と。
メールの差出人は誰かきちんと分かっていた。
で、なぜかこのとき、怒るでもなく冷静にこのメールを受け止めた。
なので、「そうね・・・私はどこか自分に甘えて自分の思いを吐き出す事ばかりで実際には何一つ変えてい・変わっていないのかもしれない。でも、コレでも色々やってきたつもりなの。いつだって自分を何とかしたくてあがいてもがいて空回り。なんとかしたい・どうしたら良いだろう?・・・といつも思っているのに何もわからないの」と返事をした。
そしたら、「なんでもいいんだよ、ちょっとした思い切った工夫一つで気分も変われば心持も何も変わるものさ。・・・そうだね・・・女性なら、こんなのはどう?せっかくの女盛り、コレくらいやってコレくらいきれいな自分をまず外側からでも作ってみれば?」
と、思いっきりショートで且つ色っぽい綺麗な女性の写真を添付してきた。
なんか、その気持ちは嬉しいけど、髪形を変えたり化粧を変えたところで何も変わらない。
そういう問題じゃない。
それに死にたくなるのは脳が、セロトニン分泌の不足により勝手にそういう状態・思考状態にさせちゃうんだもの。髪形や化粧を変えたって・・・、こんなんでどうにかなるんだったら、医者だってさっさとそういう助言をしているよ・・・と思った。
だけど、この人、一生懸命言ってくれているし、今、ここで何もしないよりは騙されたと思ってやった方がまだマシかも・・・と思い、よし!と思って美容室に行った。
顔や髪質も違うんだから、写真のような人のようなれるわけなんかない・・・って事もわかっていた。
思い切ったショートヘアにすることも私の髪質じゃちょっと無理だったので、美容師さんと相談しながら出来るだけイメージも雰囲気も変わるような髪型にしてみた。
その事をメールで伝えたら、
「正直嬉しかった。で、気分はどう?」とメールを返された・・・けど、
「・・・その時だけ。ごめんね、やっぱりこんなんじゃ変わらない・・・。ごめんね」と返事をしたら、
「そうかぁ。生まれ変わったような気分になれば少しは・・・と思ったのだけど、自分の方がまだまだ浅はかな考えでしかなかったのかもね。
あのさ、変な意味ナシで、どうせ近くに住んでいるんだし、お酒でも飲んでバカ話でもしてストレス発散でもしないか?一人でいてもストレスなんて発散できないし、こういうのはどのみち必要な事だと思うんだ。」と。
一瞬「・・・」と考えて携帯のメアドだけ教えて連絡を取り合って会うことにした。
その人に関してはその人のブログを通してなんとなく人柄も年齢も分かっていたし、その人の抱えている病気のことだとかその人がはまっている趣味だとか・・・そういうのは分かっていた。あ、もちろん男性。
とりあえずお酒大好きなその人と楽しい話とか何なり出来るかもしれないけど、
お酒を飲んでセックス〜〜みたいな流れになるんじゃないかとも当然予想もしていた。
ただ、この時点ではセックスなんて私にとってはどうでもいいものだった。
本当にしたくなければ、やらないで済む・相手が意気傷心してひるんで、やる気さえ起こらなくなってしまうだけの言葉も・・・私はなぜかわかっていたから、単に自分がしたかったらその場の流れに任せよう・・・としか思っていなかった。
セックスなんてどうでもよいのだけど、どうせするなら相手くらい選ぶ・・・その自信だあけはあったの。
で、会った。
その人は「・・・どこがどう悪いのかわからない」と印象を受けたようだった。そう言われた。
・・・コレもある種の特徴。鬱は鬱でも鬱病の人とはちょっと印象も違えば質も微妙に違う・・・一見何ともないように見える・・・どちらかと言えば私自身この台詞を聞く事自体・・・飽き飽きしていた。
で、どうせお酒を飲むなら楽しい話題に限ると思っている性分なので、その人ともいつの間にか盛り上がってお酒も進んだ。
お互い、お互いのバカ話しかしなかった。いや、多少真面目な話もしたけど。
何軒かはしごして、さすがに酔った。
吐き気さえしないけど、千鳥足状態で「こりゃダメだ」と自分で思った。力が抜けちゃってたんだよね。
気分もいいし、こんな状態だし、時間も時間・・・ということで結局やっぱりホテルへ。
ただ、お酒のせいだけにはしない。
私自身、もともと人肌をやたら求めいている部分もあった・・・お酒のせいというより酔った事に乗じて私自身が人肌を求めてもいたからだった事でもあると思う。
相手の人も49歳だったから余計にお酒を飲むとおちんちんが勃ち辛いこともわかっていた。
でも、セックス(性的接触)って言っても色々な形・やり方があることもわかっていたので、そこら辺は何も気にしなかった。
逆に、自分の身を守るにはある意味都合さえ良かったかもしれない。
で・・・セックス。
私にとってはセックスの内容より人肌のぬくもりやお互いの息を感じることのほうを求めていたので充分だった。
で、その晩はそのままホテルに泊まる事になったのだけど、
ホテルにあったお酒をまた飲みながら、今度は真面目な話しかしなかった。
ブログを通して、その人はバブル期には相当派手に遊んで会社を起こし、上手い汁も沢山味わったりちょっとした悪い事も沢山してきたようだけど、バブルの崩壊と共に会社は火だるま状態で倒産。
自己破産宣告した末に離婚。
同時に心臓病の疾患にかかって死ぬ寸前にまでいった事もあったらしい。
老いた認知症のお母さんの世話を一人きりでやらなければならないという立場。
「俺はなぁ・・・実は手術には成功したけれど、予後は良くて5年しか生きられない・・・事を、やっぱり自分の病気を知りたくて片っ端から調べ医者にも聞いてこの情報が嘘かホントか確認したんだ。
その時、医者は隠さず、確かに長くて5年位かもしれませんってはっきり言ったんだよ。
ちょうどお前くらいの歳の若い医者がね。もちろん、どん底のどん底まで落ちたような気分になって目の前が真っ白になったよ。
しかもこれも特定疾患、医療費だってタダ・・・要するに障害者だよ、俺も。
だけど、後から冷静になって考えてみたら、お前くらいの年齢の医者が余命の事をはっきり患者に伝えるのも辛かっただろうなと思ったよ。
で、散々悩んだ結果、これ以上アレコレ調べてなんとかならないだろうかとあがく事をするよりは、覚悟を決めて、どうせだったらあと何年かしか生きられない・しかもいつ突然再発してそのまま・・・になるのかわからないのなら、せいぜいできるだけ楽しく生きてやろうと思ったね。
で、好きなことをどんどんやって生きていたら・・・どういうわけかもう術後7年以上生きているんだよ、俺。
最近は飲んで女遊びするのもバカバカしく思えて、もっと健康的に生きたくなって・・・で、今クロスバイクを始めたわけよ。
3日4日かけて目的地までクロスバイク(要は自転車)でいくってのも結構大変なんだけど、着いたときの達成感・感動、疲労感・・・最高だね。
生きている事に感謝さえ出来るんだよ、コレが。
もちろん母親の事もあるから色々考え母親の問題をクリアしなきゃそうそうできない事だけどな。
・・・実際、ヘタすりゃボケた母親を一人残して先に死んじまうかもしれないんだよ、俺は・・・。
実際には運よく生きているだけであって、自分の子供たちや母親の事もあるから、だからこそ生きていたいと思う俺の気持ちがお前に分かるか?
生きていたいのに、明日死ぬかもしれないんだぞ、俺。
お前、わかるか?俺の辛いこの気持ち・・・」と言われた。
何も返す言葉が無かった。
ただ、なぜか「ごめんなさい」という言葉と涙が自然と出てきた。
「泣くんじゃねぇよ、腹立つなぁ。
お前はな、自分の意志で生きることも出来るんだよ!
精神疾患だろうが何だろうが元々は死ぬ病気じゃない訳だろ?
俺とは違うんだよ!
わかったら、二度と「死にたい」なんて言うんじゃねぇ!
こういう人間がいるって事をわすれるんじゃねぇ!」と私に怒りながら言い始めた。
それを聞いた時、
「・・・・だから?最初にくれたメールで今目の前にいたら殴ってやりたい・・・と書いたのは・・・そういうのがあったから?」と聞いた。
「・・・そうかも。俺も人の事を偉そうにいえるだけ堂々と立派に生きてきたわけじゃないけど、
自分の感情と、お前を何とかしてやりたい気持ちでついあんな事メールで送っちまったんだな。
けど、お前がきちんと答えてくれた時は、嬉しかったなぁ。
だから酒でも飲みに行こうと言った訳なんだけどね」と。
それを聞いたら、
「殴って」と私。
「はぁ?」とその人。
「私、バカだから、すぐに忘れてしまいそうだから、殴って。
身体ごと覚えなきゃ、多分ダメだから、今の私の気持ちも想いもショックも何もすぐにどこかへ行ってしまうかもしれないから、こういうの自分の為にも忘れたくないから・・・殴って」とあえてお願いした。
当然、相手は困惑した。
私は黙ってうなだれていたまま。
沈黙の時間。
で、「・・・どこ、殴ったらいい?」と、聞いてきた。
「どこでも・・・。顔で良いよ。」と私。
「顔?いいの?大丈夫?」と心配そうに相手。
「うん。・・・そのかわり、中途半端に力抜かないで。痛くても構わないの。腫れたって別に言いの。ただ、なんていうか・・・中途半端な気持ちでなぐるんだったら・・・殴らないで欲しいの。
嫌なこと、お願いしているかもしれないってちゃんと分かっているけど、私、変わりたいの。自分を何とかしたいの。だから、出来ればお願い・・・」と言ったら、
さほど間髪入れずに3〜4発殴られた。
その直後、「大丈夫だった?痛かっただろう?ごめん、ごめんな。顔は・・・ダメだよ、もうしないからな。」とあわててその人は私の顔をさすりながら言った。
このときから、抑鬱的になったり、この後もっと荒れたj状態になったりロクでもないこともしたけれど、それでも「死にたい」と言ったり思う事はなくなった。
「死にたい」なんて言っちゃいけない・・・と強く思うようになった。
苦しくて辛くて死にたい気分になっても「死にたい」と思う事もなく、誰かに言う事もなくなった。
この人とはその後、もう一度会って寝て・・・結局もう会うことはなくなった。
その人もしばらくはブログを続けていたようけどいつからかブログもやめてしまったし、今どんな生活を送っているのかさえ知らないし、・・・生きているかもわからない。
ただ、このこと、この日の事は、私にとって予想外の大きな出来事だったと思う。
それこそ、半年前の事になる。
医者が「まぁ・・・いいけどね・・・」と呆れたように私がやっていた事を言っていたけど、私は出会い系サイトのチャットで知り合った男とあってはセックスをする・・・を繰り返していた。
まぁ、いわゆる性的逸脱行為というやつになるのだろうけど。
その頃やっていたのは居酒屋での仕事だったのだけど、そこでのストレスがかなり強かった。
よく不安発作を起こしていた。
それと衝動的にキレてしまわないように・・・と、仕事に行く前にきちんとした飲み方で(飲む時の時間の感覚とかも守って)頓服を2錠飲んでから出勤。
抑えきれない怒りや人に対する恐怖感と悔しさを抱えたままいつも家に帰っていた。
一人で部屋にいるとやたら悲しくて寂しくて虚しくて・・・どうにもならない夜ばかり続いた。
虚しかったのは、「なんで、こんな状態でこんな想いまでして働かなきゃならないんだろう・・・」という想いと「どれだけ辛かろうと、薬に頼らなければいられなかろうと、なんであろうと、続ける事に意味がある。だから続ける、辞めない」と頑なに思ってこの仕事に対しては取り組んだのもあって、
「なんで、こんな状態でこんな想いまでして働かなきゃならないんだろう・・・」と思う自分の問いに「仕方が無い。自分の意志と理由もあるのだから・・・」とすぐ応えられると、「なんで私はこうなんだろう?何を頑張っても辛い事道しか歩けない・・・」と思うと、生きていく事にやたら虚しさを感じた。
だけど、その虚しさを打ち消したくて、色々なものを使って打ち消した。
お酒と薬・・・を最初は良く使っていた。
ただ、アルコールと一緒に薬を飲むことは滅多にしなかった。
この時点で、生きていくことだけはハッキリと決めていたから余計な事まで必要以上にする気もほとんどなくなっていたというのもある。
お酒はラム酒のような火酒をストレートで飲み、快感と同時にすぐ酔って寝てしまえるから、それで飲んだ。
寝る以外、こんな時の自分に対する対応法が思い浮かばなかった。
薬は眠剤を多くても10錠程度飲むくらい。3錠程度が多かったかな。
それでも私の処方されていた眠剤は多くて1.5錠までと主治医に言われていたので、必要量以上取りすぎとなる。
もっとも、それ以前はあるだけの薬を飲んだこともあったというのに。
主治医に薬を3錠飲むのと100錠飲むのと、効果は変わらないというその話を理由まで教えてもらったので、つまり多く飲め飲むほどただ単に自分が損をするだけ・・・損というのは薬代。それだけの事にしかならないので、アホらしくて、”飛びたい”時は3錠〜5錠でやめていた。それ以上はその時の自分の「薬を飲みたい」というその気分・状態で飲む個数が変わっただけ。で、多くて10錠。
それに、多く飲めば飲むほど、どうせ一時の逃避の為に、自分が後々困る事になる・・・と言うのもよくわかっていたから、尚更私はバカみたいに多く飲むことはしなかった。
ただ、こういう仕事とその生活環境だと、どうしても仕事が休みのときは空白の時間がやたら増える。
一人でいる時間がどうしても増える。
そういうのに慣れる事がどうしても出来なかった。
一人でいたくない。
誰かと話をしたい。
誰かいて欲しい。
思う事はそればかり。
かといってどんなに思っても叶わない事だったから、お酒や薬で逃避する以外はずっと泣きながら夜を過していた。
そういう日々さえ虚しく感じ疲れた頃、ふと、チャットというものをなんとなく思い出して、なんとなく色々探してみた。
どこの誰ともわからない相手と、私にとって苦痛となる会話が避けられ、且つ楽しく無難に話せるチャット内容は・・・と思ったら、結局出会いサイトのチャットに辿りついた。
下ネタというのは一番どうでもよい笑える話だったから。
話せればそれで良かった・・・一人でいる時間を潰せればよかった。
チャットをやっていて相手に対してうんざりしたり気持ち悪いと思ったらチャットをやめればいいだけだった。
そんな感覚でやっていた。
ただ、そのうち何人かとメアドを交換して会うような流れにどんどん進んでいった。
単純に、相手に一方的にメアドや携帯番号を教えられても、自分のは教えないという事が出来なかったからだ。
どうも、名刺感覚的なメアド交換の癖が強くて、仕方が無いから条件反射のように教えていた。
ただ、元々が出会いサイトだという事もわかっていたし、セックスだけの相手が欲しかったわけじゃない、むしろ色々な危険性を考えると、逆に会うのが怖くて、出来るだけごまかして会わないように話を進めていた。
けど、結局流されて、会って、セックスをした。
で、その時の感想は・・・無い。
無感覚。
で、困ってもいた。
セックスがしたいだけの男達から頻繁に来るよくわからんメールや会うためのメール、一度会ってセックスをした相手からのしつこいメール・・・。
それでいて、私はそのサイトでチャットを毎晩誰かとしていた。
さすがにメアドだけは教えなくなってきたけど。
SM好きな男達も沢山いた。
SMもちろんそれがなんなのか分かっていたけど、ちょっと違った別の意味で興味があったのでそのセンで話をするようになった。
そしたら、いつの間にかにすっかりその相手は「ご主人様」で私は「奴隷」と言う設定で話はどんどん進み、メアドを交換し、会うことになった。
感想は・・・前回と同じ。
その相手にとってはSMプレイだったのかもしれないけど、私にとってはただの幼稚なセックスにしか思えなかった。
が、なんというか、「もう自分の女」感覚がその相手には強かったらしく、私はそんなつもりにもそんな気にもなれなかったので、後から送られてくるメールが嫌だった。
それでも繰り返す私の出会い系サイトでのチャット行為。
嫌なのに誰かと話しをしたい・・・今思うと呆れて自分を笑えるけど、その時はそんな感じだった。
ほとんど惰性的にやっていた時、ある人とチャットで知り合った。
チャットで会話をしていて、すぐにわかった。「この人は女慣れしている。」って。
それに女に飢えている人でもないと。
で、これがまたSM愛好者・・・。
だけど、なんていうか、話していておもしろかった。
会ったりするのはもうご免だったから、この人には最初から会うつもりもメアドを教えるつもりもナイト私はハッキリ話していた。
「それは別に構わない。俺も結局単なる暇つぶしで(ココのサイトに)いるだけだし。プロフィール見れば分かると思うけどパートナーも既にいるし、別に女に飢えているわけでもないから会いたくないとかそういうんだったら、それはそれで普通に話しててもいいじゃん」と言ってきた。
なんとなくちょっと面白い人だなと思ったので、話のネタとして自分が困っている事を話した。
そしたら、私の困っている事に対してどう対応すればいいかあっさり教えてくれた。
「こんなんで十分。あんた、人が良いというかバカだね〜。
ってか、そもそも何コイツ(男達の中の一人)。こうこうこういうところが浅ましくてみっともね〜。同じ男として呆れるね。こんなのに構っているなら俺といたほうがずっと良いよ」と言う。
その言葉を聞いて「でも、会わないから」くどいほどハッキリと言った。
「あ〜、はいはい。そうだったね。」とその人。
しばらく話をしていて、そのうち、その人は私にこんな事を言った。
「なんかさ〜、やっぱ一度会わない?」と。
「会わない。もういい加減そういう台詞も聞き飽きたし、その手には乗らないってば〜」と応えたら、
「いや、そんなんじゃなくて、セックスなんてどうでもいいの。なんていうか・・・もっと普通にあって普通に話がしたくなったんだよね」と言う。
「・・・なんで?」とあえて突っ込んでみた。
「なんでって・・・普通にあなたに興味が沸いたから。セックス云々じゃなくて普通に会ってみたいと思ったから」と。
一瞬考えて、OKの返事をした。
私も面白そうだから会ってみたいというのと、私の体じゃなく私自身に普通に興味を覚えたというのが嬉しかったから。
写真交換もせずメアドと電話番号の交換と待ち合わせ場所しか決めないで会うことになった。
待ち合わせ場所にいた私にその人はすぐに気がつき、私を挨拶もせず確認できたらさっさと腕を掴んで歩き出しながら「このまま歩きながら話をしよう」と言う。
「・・・べつにいいけど、なんで?」と聞いたら、
「だってさ〜、池袋のあんな場所で『はじめまして』な〜んて会話なんかしてたら、いかにも出会い系サイトで知り合って会いました〜って感じでみっともないというか恥かしいだけじゃん。俺、そういうのメチャ嫌だから」と。
納得。・・・というか、このごく自然な感覚にほっとした。
彼は私の4歳年上で、あんなサイトを使っていたくせにコレはコレ、それはそれというのがハッキリしていたので、余計に安心した。同時にあって余計に興味を覚えた。
その人は駅前を歩きながら私に「とりあえず、落ち着いて色々ゆっくり話が出来るトコに行こう」と言って池袋の街を適当に歩き、私もそれについていった。
「ココ」と言って足を止めたのはホテル・・・。
「あの〜・・・、ここって〜、確かに話はゆっくり出来るけどぉ・・・、基本的にナニするトコじゃないですかぁ・・・・?」と言ったら、
「そ、色んな話が出来てゆっくり出来るトコ(笑)」とにんまりして言う。
「・・・逆に疲れるトコなんじゃないの?」とシラケ顔で私が言ったら、
「疲れたら、ゆっくり休める場所。しかもお風呂付♪」と楽しそうに言う。
「・・・あ〜・・・、確かに、カラオケとかビデオとか食べ物・飲み物もあるしね〜・・・、確かに不自由の無い落ち着いて色々ゆっくり話が出来るトコだねぇ・・・。で、ここなんかい!」と突っ込んで言ったら、
「そ。あ、でもそこのコンビニでちょっと色々買ってくるけど。お酒飲めるんだっけ?」
「・・・うん。あんまり飲めないけど」と言ったら、すぐに私を置いてコンビニに行きお酒類と食べ物を沢山買い込んできた。
「平日のフリータイム使えるから、長い時間いられるからね」と明るい笑顔で楽しそうに言う。
・・・完全に私の先の先を持っていかれた・・・そう思った。
苦笑交じりにガクとうなだれる私に
「どうしたの?ん?なんか問題ある?なんか足りない?」と今度は満足げににやりと笑って言う。
「・・・はいはい、そもそも私が甘かったというかおバカでした。も〜・・・なんでもいいです、はい。」とすぐに諦めた。
顔もスタイルも良かったし、服装も飾り気の無い自然な格好・・・誘導の仕方にしてもやっぱ相当女慣れしてる・・・と思った。
最も、これくらい女慣れしている方が私にとっても都合が良かった。
後を引くことが無いから。
ホテルの部屋に入って私を椅子に座るように勧める。
「まぁ、時間もたっぷりあることだし、色々話そ。おなか空いてない?・・・お楽しみは後からいくらでも出来るからね(笑)」と言う。
「・・・・」なんか、緊張感もどどん壊されて、完全に相手の手の平の上に乗っかっちゃってる私に気付く。ただ、無邪気なイタズラ小僧のようなその様子・話し方・笑い方のおかげで方の力も自然と抜け相手のペースのままお酒を似見ながらタバコを吸い始めた私。
相手は私のその様子に満足して、
「ねぇ、今まで男と会って即ホテルへ行きいきなりやってたの?」と聞く。
「・・・うん。そんな感じだったね。ってか、いきなり騙されたと思ったのも今回が初めてだったけど」と言ったら、
「騙してなんか無いよ〜。余計な言葉を抜いただけ〜。そのままじゃ面白くもなんとも無いじゃん」とぬけぬけと言う。
「・・・セックスしないと私は言ってたんだけどなぁ・・・?」と言ったら、
「したくなけりゃしないでいいよ。」と自信満々に言う。
「・・・はいはい。も〜、なんでもいいです。ってか、あなた面白い」と言ったら、
「そう?」とケロリとして言う。
「第一、俺だって実際にお前がホントに来るとも信じちゃいなかったもの。」と言う。
「何で来たの?」と聞いたら、
「暇だったし、チャットで話してて素直そうな印象を受けたし、来るような気がしたから。
基本的に『来ない』という基準の上でしか考えていなかったしね。
・・・というかさ〜、そもそもすっぽかしだの冷やかしだのが当たり前の世界だよ?まともに考えるわけじゃないじゃん。」と言う。
「・・・・。」
「・・・だ〜か〜ら変な奴に簡単に引っかかって困るような状況に簡単に置かれちゃうんだよ」と私の無言の意味を見抜いて私に言う。
「まぁ、なんであんなサイトで遊んでいたのか知らないけど、会うのが決まって会ったらこういうのはもうお決まりでしょ?」と笑いながら言う。
「・・・ってか、セックスしないと言った私の言葉、何気にどうでも良かったってことか・・。会うことが決まった時点でその気になっていたんでしょ?」と聞いたら、
「当たり前じゃん。もっとも、『来ない』場合の事も考えていたからね、そこまでやる気満々でいたわけでもなかったよ・・・その程度の感覚」と言う。
「彼女とかいないの?あ、パートナーがいるとは言ってたね。その人が彼女?」と聞いたら、
「あ〜、単なるメス豚。」・・・・と当たり前のように言う・・・・・。
「・・・・・・・・・・。それはそれで何でもいいけど、彼女じゃないの?」と聞いたら、
「付き合いは長いけどね、本名さえしらないし。お互いやりたくてやって付き合っていただけ。ってか、最初は独身だとか言ってやがったし。」と。
「・・・あらら、既婚者だったんだ。よくまぁ、既婚者とやること」と言ったら、
「俺はやれればそれで良かったし、やって面倒そうな相手だったら切るもの。
・・・あいつは自分の立場ややっていることをちゃんと認識していたから、ならいいやと思って付き合っているだけ。じゃなきゃ付き合うわけ無いじゃん。自分だって面倒な事に巻き込まれるし。」
「・・・。その人以外に『彼女』はいないの?いそうだけど。」と聞いたら、
「いや、いないよ。ってか、作る気も無いし」と言う。
「なんで?」と聞いたら、
「面倒だから。俺ね・・・縛られるのすごく嫌だから。」と言う。
「・・・・・・・・へぇ・・・・。」
「ナニそのソレ?・・・まぁ、いいや、ちょっと来てご覧」と言うので近くに寄ったら、はい、そのまま大人の世界。ただしいたってノーマルに。
その人は私より4つ年上だったのに、まるで子供のような無邪気な顔でセックスも会話も楽しむ人だった。
その人に自然と興味が沸いたから、セックスも特別嫌でもなかった。
と、いうか、セックスよりも色んな話がしたかった。
ただ、時間はたっぷりあったので、休憩の合間に色々話せた。
その中でこんな会話をした。
「この背中の翼のタトゥ・・・その意味というかなんでコレなのか何となく分かるんだけど、
よっぽど自由でいたいみたいね」と聞いたら、
「・・・うん。というかさ〜、俺もね、30歳くらいまでまるで相手の期待に応えるような生き方をしてきたの。なんていうか、相手が望むような人でいたっていいうか。けどね、それがだんだん苦痛になって、ある日やめたの。そしたらね、楽になったのよ。彼氏彼女という関係もうんざりしたからやめたの。で、好きなことは好きにやりたくなたの」と言う。
「・・・・・・。」
「そのうちこういう世界(SM)もあるんだぁと思って、やりたいからやり始めたの。こういうのも有りだなって思ってね。
どうしたって普通に生活して人間関係の中にいたら上手く行かないしがらみの中にいなきゃならないじゃん。
その中でしか生きられない・生きている自分が嫌になったの。
だからやめた。
他にもやりたいこと、水泳とかHIP HOPとかもやってるんだけど。
おかげで随分楽に楽しんで生きられるようになったよ。」と。
「・・・凄いね。でも、それで良いんだとおもう・・・」と言ったら、
「あのね〜、コレでも俺が30年かけてやっと自分で見出した答えなの。やっとだよ?やっと。これでも俺なりに相当悩んできたんだぜ?大体、何のために生きているかといったら自分の為に決まってるじゃん。だから自分の好きなようにやって行きたいの。じゃなきゃつまんないじゃん。」と言う。
「・・・・・。」
よくわからないんだけど、このときのこの人のこの言葉が私にやたら響いた。
「というかさぁ〜、お前、誰とでも寝るってどうなのよ?
もっとさぁ〜、触れ合いたい・愛おしいとかそういうものの上でセックスとかしないの?」と聞かれた。
「・・・私は・・・」と言いかけてやめた。
「・・?まぁ、なんでもいいけどさぁ、
女なんだから、もっと自分を大切にしろよ!
全然自分を大切にして無いじゃん!
それでいいわけ?」と言われた。
「・・・・」返す言葉も無かった。
「まぁ、俺のようないい男に拾われて良かったな、お前。こういう奴あ〜ゆ〜サイトじゃまずいないから」と言うから、
なんか、何も言い返せない悔しさもあったので、
「でも、そう言ってる割には大切にしてもらった気もしないんだけどぉ・・・」と言ったら、
「まぁまぁ、それはそれ、コレはコレ(笑)」とまとめられて一旦話は終わった。
この人とはその後3回ほど会ってセックスをした。
だけど、ちょっとしたことがきっかけで喧嘩して別れた。
でも、それで良かったのかもしれないと今でも思う。
もちろん主治医もこの話は全部知っている。
主治医には「随分あっさりと別れられたものですね」と言われた。
「なんかね、よくわかんないけど、なんか違う・・・という感覚もあったの。
それが何か良くわからないけど。
それにSMも結局こういう事か・・・とわかりましたしね。
諸全、プレイはプレイでしかない。セックスはセックス。
それに彼の場合のセックス・・・って・・・。
・・・彼がそれをわかっているのかどうかわからないけど・・・。
とにかくもういいとあっさり思ったの。」と主治医には伝えた。
ロクでもない話、人に話せるような話じゃないし、そんなたいした話でもないと思う。
ただ、私にとってはこの中で拾う(得る)ものがあった。
ドラマは日常に潜んでいる
日常こそドラマなのだ。。。
写真と文章は関係ありません。。